最終更新日:2006.12.12

Topページへ

故佐藤監督の一周忌法要によせて

2006年12月12日
平戸 明彦

 先日の日曜日、12月10日に宣正寺において一周忌法要が行われた。

 12月12日が命日。
去年のこの日のことは昨日のように覚えている。
私は前日の11日大岡高校の試合後、熱海に会社の仲間と1泊の慰安旅行にでかけた。それで翌日の月曜日は平日にもかかわらず休みをとっていた。午前中に熱海を発って午後一に帰宅。平日に休むことはなかなかない。また土日の野球も忙しい。空いた時間を利用して数年ぶりに港南台へ眼鏡を買いに出かけた。
 検眼とともに時間をかけて眼鏡を選び、完成まで40分くらいかかるというので、暇つぶしに港南台高島屋へ向った。高島屋入口に入りかけた時に携帯電話が鳴り、佐藤監督が救急車で横浜市南部病院の集中治療室に搬送されたとの報が妻から届いた。

「まさか」と思いつつ高島屋隣接の南部病院まで慌てて駆け込んだところ、すでに意識不明の状態であった。それから約6時間後、とうとう昏睡から覚めることなく23時45分、ご自身の66回目の誕生日の終わろうとしている15分前に、まるで急ぐかのようにご逝去された。

 あれから1年たった。
 先日12月9日土曜日は雨天のために南小学校体育館で練習をした。この雨で学校練習が中止になった中一OB元主将、元副将と話した。「去年も今頃体育館で練習した時はまだ佐藤監督がいらっしゃった」「監督がお亡くなりになってから僕らは強くなったんだ」と。

 佐藤野球にはバントもスクイズもサインはない。何故かと聞いたことがある。「だって嫌いだもん」「誰も犠牲にしたくないだろ」。投手の投げるスローボールも嫌い。これが佐藤の野球だった。古風なのかアメリカンなのかよく分からないが、とにかく鉄の信念があった。ずいぶん逆らったメニューで練習したり、ゲームの指揮をしたりしたものだが、そんな私を佐藤監督は何もいわずに認めてくれていた。随分ストレスもあったかも知れない。もっと佐藤監督の理想の野球ができていればもっと長生きできたかな。

 最近佐藤監督の行為、たとえば試合中に本部席にいたり相手ベンチで相手の監督と談笑していたり「あれま〜」というビックリ状態も頻繁にあったのだが、どうやら私は誤解していた。実はベンチに監督がいる場合はすべてアピール・選手交代・タイムなど監督が行うというルールがある。試合は監督代行として私は指揮を執っていたのだが、代行ということは「監督がいない」状態ではじめて成り立つ。そう佐藤監督はわざと「いない状態」にしてくれていたのである。これは私が監督になって初めて知った事実だ。てっきりお茶目な監督の奇行とばかりずっと思っていた。この場をかりてお詫びしたいが、もはや伝えようもない。「親の心子知らず」とはよく言ったものだ。

 さて、南部病院から佐藤家より電話が届いたことにはもうひとつの偶然がある。なんと当日は平日にも関わらず、スワローズ選手が南部病院に健診に行っていたのだ。奥様がたまたま偶然その子の親に病院で出会って小生の自宅電話番号を聞きだし、電話をくれたのだ。電話をして5分後に緊急治療室ICUに私は到着できた。このことを偶然というのは容易いが、偶然にしてはあまりにもできすぎている。これを奇跡とでもいうのだろうか。なにか見えない力が働きかけているとしか考えられない。

 前日の試合前に監督から「あ〜佐藤ですけんど、体調が悪いんで今日は休ませてもらいます」と電話があった。こんな電話は過去に一度としてなかった。よっぽどのことなのだろうと思っていた。しかし、試合もすすんで4回くらいに監督が現れたのだ。足取りも本当に辛そうにベンチにやってきた。とても際どい試合になってしまい。副将のHRで4−3。辛うじて勝利できた。試合終了後の円陣で佐藤監督から実に優しいコメントがあった。「みんな勝ててよかったね」「おめでとう」普段は考えられない優しい言葉。叱られると思っていた選手も取り巻くコーチ陣も耳を疑ったものだ。

 「子を持って知る親の恩」思い出はつきることなし。
 「親孝行したいときには親はなし」

 昨年12月6日ころ藤ノ木聖年会主催の餅つき大会の後片付けを手伝ってくれたらしい。寒い日でそこで体調を崩されたのだとも聞く。最後の最後までその力を出し惜しみせずに地元町内に還元してくれたようだ。

 最後に、昭和の頑固おやじが亡くなられて1年。
 その蒔いた種は確実に成長していることをご仏前に報告してきたことを報告しておきたい。
 監督には空から、草葉の陰からちゃちゃをいれてほしい。「なにやってんだコノ〜」と。

 追伸:なんとか混乱の中、スワローズも一年が経ちました。監督亡き後、それはそれはいろんな人に支えられて今日までこれました。これからも引き続きご厚情を賜り、温かく見守っていただきたいと切に願っています。今後ともよろしくお願い申し上げます。

以上